こんにちは。ようこそ そらまっぷへ!
私の父親は、59才という若さでこの世を去った。
約20年ほど前である。
私の両親は私が二十歳になるころに離婚した。
父が病気であることを知るまでは、ずっと会っていなかった。
久しぶりに父と会った。
病院のベッドの上に座っている父は、
手術の時、どれだけ大変だったかを
身振り手振りで教えてくれた。
余命、3か月とも知らずに。
そこから約10か月後に父は、この世を去った。
今思えば介護保険制度がスタートしたのが
2000年くらいなので、ちょうどその頃である。
結局は、介護保険制度を使うこともなく、
ベッドをレンタルすることもなく、
畳の上の布団から、起き上がることが
できずに救急車を呼ぶことがあった。
だんだんお箸を持つ力も弱くなった。
私は、介護用品を扱う店に通うようになった。
お箸にばねが付いて持ちやすくなったものを
購入した。
父は癌だった。
最後の方は、痛みとの闘いだった。
おしっこも出なくなり、体中に水が溜まり
足もパンパンだった。
介護用品を扱う店には、そんなパンパンの足にあう
靴下は、なかった。
私は、父の靴下のゴムの部分を切り落とした。
見た目がどうのという人がいたが、
本人は楽になったようで、ご満悦だった。
私は、いつしか、福祉用具や、障害のある人が
使いやすい自助具を作りたいと思うようになった。
それから間もなくして父はこの世を去った。
私は今まで「これがやりたい」なんて思うこと
はなかったのだが、介護で人の役に立ちたいと
強く思った。
それから、まずヘルパーさんの資格を取った。
その後、福祉用具専門相談員の資格を取った。
その後、住環境コーディネーターの資格を取った。
それから、福祉用具の会社を探して就職した。
利用者様一人一人、体の状態も生きてきた環境も
性格も違う。
昔は学校の校長先生をしていて、いつも凛としていた
方が、認知症になった。
認知症になっても「先生」と呼びかけると
しっかりと「はい」と返事をして下さる。
戦争の話を聞かせて下さる方もいた。
色々勉強になった。
父のおかげで、たくさんのお年寄りと
その家族の方と知り合うことができた。
お父さん、ありがとう。
8月の夏の日、お父さんは旅立った。
最後までご覧いただきありがとうございました。